ゲームスタディーズ入門

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フランス・マウラ 著 『ゲームスタディーズ入門 ―文化のなかのゲーム』 小林信重 訳

合同会社ニューゲームズオーダー 刊


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本書は、SAGE Publishing Ltd. より2008年に英国・米国・インド(ニューデリー)で刊行された、Frans Mäyrä『An Introduction to Game Studies  ― Games in Culture』の日本語訳(全訳)です。

冊子版(A5版ソフトカバー 本文261頁予定) 2024年3月29日発売予定 希望小売価格 税込3000円+税 (ISBN978-4-908124-73-0)

電子書籍版(Kindle版、PDF&EPUB版) 2024年3月29日発売予定 希望小売価格 2000円 +税 (ISBN978-4-908124-72-3)

 本書は、ゲーム、特にさまざまなデジタル形式のゲームに注目する新しい研究分野、ゲームスタディーズの教科書である。この分野の概要をコンパクトに示し、読者がより緻密で高度な研究を続けるために必要なツールを身につけることができるように作られている。また、入門コースの教材として使えるよう、章の終わりには課題例および関係する方法論についてのメモを用意している。

 本書は、ゲームを作るための本、ゲームの構造や機能だけを分析する本、ゲームに関するビジネスや法的側面を調査する研究ではなく、文化としてのゲームを主要な出発点としている。文化という概念は、さまざまな分野の研究者がその形成に貢献し、多くの変化を遂げてきたものであるため、ここで示される見解は必然的に学際的なものとなっている。

 本書は概念と歴史の両方からまとめられている。ゲームスタディーズの歴史と主なアプローチを最初に紹介し、その後、ゲーム文化の主な歴史的段階と、関連する重要なゲーム形式について、読者に親しんでもらうよう試みる。本書の議論は具体的なゲームの作例に基づいており、作例はこの分野の多様性をより包括的に理解できるように選ばれている。また、個々の種類のゲームを理解するために使える重要概念についての議論を、本書の歴史的枠組全体の中でそれらの概念が有益になる個所に置いている。この枠組は、ゲームプレイとゲームの表象的側面を区別すること、そしてゲームの様々なダイナミックな側面を議論することに、焦点を合わせたものである。

Frans Mäyrä(フランス・マウラ)― 1966 年パーヴォラ(Paavola、フィンランド中部)生。1999年にタンペレ大学でPh.D。2002年にタンペレ大学ゲーム研究室(Gaming Research Lab)を創立し所長に就任。2003年にデジタルゲーム学会(DiGRA: Digital Games Research Association)設立、初代会長に就任し2006年まで務めた。2012年よりタンペレ大学情報学教授。

目次

目次 3凡例 5謝辞 6

1. はじめに:ゲームスタディーズとは何か? 7

◆ゲームを理解する 7◆ゲームスタディーズの(とても)短い歴史 12◆まとめと結論 20◆参考文献 21◆導入課題:個人的なゲーム史 21

2. ゲーム文化:ゲームにおける意味 23

◆文化的体系としてのゲーム 23◆サブカルチャーとしてのゲーム文化 34◆まとめと結論 42◆参考文献 43◆課題:ゲーム文化の調査 43

3. 歴史の中の遊びとゲーム 44

◆ゲーム史を書く 44◆ゲームを定義する 47◆ゲーム前史 54◆文化の中の遊びの研究 60◆まとめと結論 70◆参考文献 71◆課題:非デジタルゲームの改良 71

4. 1970年代の二重構造とアクションゲーム 72

◆多層的な意味形成システムとしてのデジタルゲーム 72◆「古典」をどう定義するか? 76◆デジタルゲームの30年間:現代の情報社会の誕生 77◆1970年代のゲーム:語彙の学習 80 ・『ポン』(1972年):楽しいコアのゲームプレイの導入  80◆ゲーミング機器の重要性 83 ・ 『スペースインベーダー』(1978年)とシューティングゲームの遊びやすさ  85◆まとめと結論 89◆参考文献 91◆初期のデジタルゲームに関する課題 91

5. 1980年代のゲームにおけるアドベンチャーとその他のフィクション 93

◆1980年代のゲームと文化 93 ・『パックマン』(1980年)とポップカルチャーとしてのデジタルゲーム  93 ・『ドンキーコング』(1981年):インタラクティブな物語世界の台頭  100◆テキストアドベンチャーとコンピュータロールプレイングゲームの進化 106 ・『ウルティマIV: クエスト・オブ・ジ・アバタール』(1985年)とゲームのテーマ的な深み  111◆まとめと結論 119◆参考文献 120◆ゲーム文化の多様化に関する課題 120

6. 3次元と1990年代前半 123

◆1990年代のゲーム論争 123◆重要な視聴覚技術? 124 ・『シヴィライゼーション』(1991年):イデオロギー的シミュレーションか、単なる戦略的プレイか?  130 ・『ドゥーム』(1993年):論争、没入、プレイヤーが創り出すMOD文化  138◆まとめと結論 156◆参考文献 158◆3Dとターン制に関する課題 159

7. 現実とゲーム:新世紀に入るゲーム文化 160

◆世界としてのゲーム、ゲームとしての世界 160◆オンラインゲームの成長 161 ・ 『エバークエスト』(1999年)、『ワールド・オブ・ウォークラフト』(2004年)、その他の仮想世界  172◆マルチモーダルゲームとパーベイシブゲーム 191◆まとめと結論 203◆参考文献 204◆複合現実とマルチプレイヤーゲームに関する課題 205

8. ゲームスタディーズの取り組みの準備 206

◆問うことを学ぶ 206◆方法の道具箱を選ぶこと、作ること 211 ・人文科学の方法  212 ・社会科学の手法  214 ・デザイン研究の方法  219 ・方法としてのゲームプレイ  222◆読者のために書く 225
訳者あとがき 229参考文献一覧 232索引 244奥付 261

試し読み

(以下は本書の第1章「はじめに:ゲームスタディーズとは何か?」からの抜粋です。校正中の版からの抜粋のため、製品版とは文面に異なる箇所があることをご了承ください)

ゲームを理解する

ゲームをプレイすることは面白く楽しい場合もあるが、多くの点で大変な場合もある。ゲームスタディーズにも共通の同じ特徴がある。本書の目的は、ゲームを分析的に認識し深く理解する道へと読者を導くことである。本書はゲームスタディーズの教科書である。ゲームスタディーズは、ゲーム、特にさまざまなデジタル形式のゲームに注目する新しい研究分野である。現代的な題材に関する入門書である本書は、「紙のポータル(入口)」と考えるのが最も適切である。つまりこの本は、この分野のコンパクトな概要を示し、より詳細で高度な探究を続けるために必要な重要な道具を読者に与えることを目的としている。そのため、本書は次の情報源への助言を含む情報ボックスをいくつか提示し、また、関連サイト(www.gamestudiesbook.net)でも同様の情報をさらに提供している。また、本書はゲームスタディーズの入門コースの教材として使えるようにも作られており、そうした〔授業での〕利用や独学を支援するため、各章の終わりに、章の要約、いくつかの課題例、関連する方法論の情報を用意している。なお、最終章でも方法論について詳しく紹介している。

本書の構成は、概念と歴史の両方の観点からまとめられている。ゲームスタディーズの歴史と主なアプローチのいくつかを前半のふたつの章〔第2章~第3章〕で紹介し、その次に、ゲーム文化の重要な歴史的時期と、関連する最も重要なゲームの形態に読者が詳しくなることができるように試みている。本書でのゲームに関する考察は、百科全書的あるいは一般的であることを目指すよりは、この分野の多様性をより包括的に理解する道を切り開くために選ばれた個別的・具体的で代表的なゲームの事例に基づいている。歴史とテーマを重視した章〔第4章~第7章〕は、特定のタイプのゲームを理解するのに役立つ重要概念をそれぞれ紹介している。この種の特殊な概念についての考察は、歴史的枠組み全体の中で、それらの概念が役立つ箇所に組み入れられている。本書の主要な枠組みは、ゲームプレイとゲームの表象的側面の区別と、ゲームのさまざまなダイナミック(動的)な側面の考察に焦点を合わせている。

ゲーム自体の幅広さと多様性のため、またこの学問分野が新しい分野でもあるため、ゲームとその研究はさまざまなやり方で紹介可能である。また、ゲーム研究(the study of games)には完全に有効なアプローチがいくつかある。もともと文学研究とアート研究の訓練を受け、その後、デジタル文化の教育と研究に移り、さらに学際的なゲームスタディーズの研究室を率いるようになった私自身の研究者としての曲がりくねった(twisted)キャリアは、本書でどのようなアプローチが採用されているかにもちろん影響を与えている。本書の最も重要な出発点は、概ねゲーム作り方〔だけ〕に関する本や、ゲームの構造や機能だけを分析する本、あるいはゲームに関連するビジネスや法律の側面を探求する研究書であることではなく、文化としてのゲーム(games as culture)〔という考え方〕である。これは、ゲームの芸術的・創造的側面をかなり重視していることを意味している。ただし、さまざまな学問分野の研究者がその形成に貢献する過程で、「文化」という概念は多くの変化を遂げてきたため、ここで示される考え方は必然的かつ本質的に学際的なものである。本書において交わる複数の見方は、(1) ゲームの研究、(2) プレイヤーの研究、(3) 前のふたつの文脈の研究に分類可能である。実際には、これら三つの研究領域は切り離すことができず、相互に影響し補完し合うものとして、また歴史的過程に基礎付けられた(影響を受ける、informed)ものとして見なさなければならない。いくつかの先行研究(Juul, 2005: 37)では、ゲーム、プレイヤー、世界の関係に焦点を合わせた三分割が用いられているが、ここでは「文脈」を、複数の見方(理論、frames of reference)を、さらには複数の可能な現実も包摂する、より一般的な概念として用いている。

あるゲームを理解することに関連する文脈は、特定のジャンル内やジャンル間の展開に基づいているかもしれない。他方、典型的なプレイ(遊び)実践を理解するためには、たとえば、私的空間と公的空間の区別がプレイ実践に与える影響のあり方を考慮する必要があるかもしれない。本書の基になる「ゲームスタディーズの考え方(vision)」は、学際的かつ弁証法的であると言える。私たちが何かを理解するとしたら、それはゲームについて考えるための新しい方向性を切り開くつながりを作ることによってである。既存の、しかしこれまでは別々だったアイデアや概念、思考の枠組みを接触させることで、それらの統合体を創りはじめたり、私たちの物事の理解が進化するのを体験したりすることができる。新しい概念が導入されると、ゲームとプレイヤーの関係の理解も再文脈化される〔別の文脈に照らして理解される〕。このように、ゲームの分析的研究は、私たちがゲームをプレイする方法やプレイヤーとして互いを理解する方法に影響を与えることもある。本章の途中でこの出発点は複数の視点から検討される。これらの視点はすべて文化の中のゲーム(games in culture)という考え方に役立つ。この考え方は、デジタルゲームを意味づける独自のモデルであり、デジタルゲームをプレイし考察する際に関係している複数の意味の層や過程を識別するのを助けることを目的としている。

この基本的な〔複数の視点を統合する〕弁証法的構造は、本書の目的と構成にも適用される。まず、ゲームスタディーズを実践する者が誰でもよく知っておく必要がある重要な言葉が少なくともふたつ存在する。それは、(1) ゲームという言葉と、(2) 科学的・学術的実践という意味での研究という言葉であり、どちらもかなり複雑で多様な概念である。中国の『囲碁』のような古典的ボードゲームや、ファンタジー・ロールプレイングゲームの『ダンジョンズ&ドラゴンズ(Dungeons & Dragons)』、『ソリティア(Solitaire)』(Windows OSにインストールされているデジタル版も人気のカードゲーム)、『グランド・セフト・オートⅢ(Grand Theft Auto Ⅲ)』(Rockstar Gamesの2001年の作品)のような現代のビデオゲームを比べてみれば、あるゲームを説明する時には非常に有効な概念の多くが、別のゲームを説明する時にはむしろ役に立たないことがわかるだろう。同様に、科学的実践もさまざまな形に進化しており、ゲーム研究に適用できたり、興味深く価値のある結果を生み出せたりするさまざまなアプローチが存在している。したがって、本書がゲームスタディーズの有効な出発点として特定の概念やアプローチを提示しているとしても、本書が読者に提示すべき最も重要な教訓は、科学的研究自体の原理に関わるものである。すなわち、体系的に適用され批判的に検証されるなら、知識への道は複数存在する。科学的実践は学術的コミュニティによって絶えず創造・維持・修正されており、どのような唯一絶対の真理の宣言よりも、終わることのない「真理への接近(approach)」の方が、科学的実践をはるかにうまく表現している。

ゲーム好きの人はこの〔科学的研究の〕基本的性格が十分になじみやすいと考えるだろう。なぜなら、深いところで科学と学問はゲームと良く似ているからである。プレイヤーはゲームが提示する課題によってそれに引き込まれる。また、プレイすることには、ゲーム内を進むために必要なスキル(技能)に加えて戦略を創造・検証・修正することが含まれる。学術的研究は〔ゲームと〕同じ方法で、またたいていは同じ理由で、人をとりこにできる。仮説を立てたり、研究の問いと戦略を練り上げたり、最も有望そうな方向性でも袋小路に導くことがあるのでそれら〔仮説など〕を修正したりすることによって、課題に立ち向かうことを学術的研究は求める。また、偶然の発見や進展でさえ、新しい方向性と新しい課題への扉を開くことが普通にある。

 同時に、両者の違いと、科学的研究における「遊びの衝動」に対する制度化された制限を理解することが重要である。本章の冒頭で引用したヨハン・ホイジンガ(Johan Huizinga)の言葉は、この点を説明する上で役立つ。科学が「単なるゲーム」になってしまうという「ぞっとするような結論」を、ホイジンガはすぐに払いのける。科学的研究はそれ独自の現実や「魔法陣」(第2章参照)のうちに閉じ込められるものではなく、その実践(play)の「ルール」は常に異議を唱えられ、研究の結果は他のアプローチからもたらされる結果と比較して検証される、と彼は指摘している(Huizinga, 1938/1971: 203)。したがって、実際には研究者の研究は、すでに作られているゲームを単にプレイする(遊ぶ)ことよりもゲームデザイナーの仕事にはるかに似ている。研究者は新しいアイデアのための体系的仕組みを開発・実装し、その構築物が学術コミュニティのメンバーにどう「プレイ(実践)される」かを確認しなければならない。本書が目指すのは、ゲームの学術的研究にうまく参加するために必要な重要な基本と道筋を、本書の終わりまでに読者がよりよく理解できるようになることである。特に最終章では、ゲームスタディーズの取り組み(project)の開始に関係する実践的・方法論的な問題についてさらに深く説明している。

ゲームスタディーズは生まれたばかりの学問分野(discipline)である。また、ゲームスタディーズに「学問分野」という名称をまったく与えようとせず、ゲームに焦点を合わせた学際的な研究領域について語ることをより好む研究者もいる。どう呼ぶかは別として、ゲームスタディーズは科学的探究の一分野として、また大学で正式に教えられる知識の一部門として確立されるに至っている。これはさまざまな現れ方をするゲームとプレイという独自の研究テーマだけでなく、独自の理論、方法、専門用語も持っており、これらは学術的な適用・評価・再体系化という通常のプロセスに入っている。制度的に言えば、学問分野に発展するということは、ゲームスタディーズの周辺にゲームに関する知識を発展させるという共通の目的を持つ学習コミュニティが形成されることを意味している。こうした制度化は、この分野で作られる学会、会議、学術誌によっても進められる。ある時点で、学問分野は学術的な学位プログラムとして提供される教育という形でも実現される。本書の執筆時点(2006年)では、ゲームスタディーズが多くの大学でまだこの段階に達していないとしても、教員と学生の双方の幅広い関心がこの分野を拡大させているため、類似の学位がすでにいくつか存在し、数百ものコースと副学位が誕生している。

ゲームスタディーズが人気を博している理由は色々ある。理由のひとつは明白で、ゲームそのものの人気である。デジタルメディアと情報技術の発展により、数百万もの人々が、ゲームが新しいインタラクティブ機器の最も魅力的な使い方のひとつであることに気がついた。新しいハードウェアとソフトウェアが生み出される中で、ゲームは新技術を伴うこれらすべての先進的な目玉商品向けの最も挑戦的で人気のあるアプリケーション(応用ソフト)であり続けている。ゲームはメディア技術のさまざまな領域で性能の限界を押し上げており、情報技術が最初に家庭に入り込む主な要因になっている。今日、デジタルゲームは重大な文化的影響力を持っており、特に先進工業国に住む人々の生活において重要な役割を果たしている。ゲーム産業の商業的成功も無視できない。ゲーム産業が不安定でリスクの高い産業であるとしても、ゲーム開発・販売はグローバルで創造的な巨大産業に成長しており、その世界市場の価値は年間で300億ドルを超えるとしばしば言われている。さらに現在では、ゲームセンターや家庭用ゲーム機、パソコンに囲まれて育ち、若い時も大人になってからもゲームプレイに多くの時間を費やしてきた世代の研究者たちが、大学教員の世界に入ってきている。このように、ゲームスタディーズの新しい波が生まれる上で、次のふたつの重要な要因があった。すなわち、重要でやりがいがあるがまだほとんど研究されていない現象と、この分野の研究に乗り出すために必要な専門知識と情熱を持ったかなり多くの若手研究者である。

ゲームスタディーズの(とても)短い歴史

〔…〕

国際的な学術コミュニティがゲームの理解に力を注いでいるのは、ゲームへの個人的情熱からだけでなく、後期近代社会において社会的生活と創造的実践が取っている形態について重要な教訓を得るためでもある。そもそもゲームは情報通信技術の「飼いならし(domestication)」の最も成功した事例である。これはゲームが人々の日常生活と習慣の中に統合されていることを意味している。ゲームとそれに対する私達のほぼ普遍的な強い関心に関する研究は、人間の本質と「インタラクティブ性(双方向性、interactivity) 」に対する私たちの愛着について教えることもできる。ゲームは、「インタラクティブなゲーム」という表現を使うことがトートロジー(同語反復)であるほど、本質的にインタラクティブである。ソフトウェアや新しい技術全般の作り手は、ゲームを研究することによって、インタラクティブ性をより楽しい体験にする方法を学ぶことができる。このことはある程度すでに起こっている。専門家による技術の議論の仕方は変化しており、機能や利用法ではなく体験のデザインについて語り始める人も出てきている。ゲームは、特に若い「ゲーマー世代」の考え方や行動の仕方、社会が発展していく方向に、重要な影響を与えることさえあるかもしれない。〔以上から分かる通り〕「なぜゲームを研究するのか?」という問いに答えをいくつか出すことは容易である。

ゲームスタディーズに明確な定義を与えることははるかに困難である。大まかに定義することは簡単である。ゲームスタディーズは、ゲームとその関連現象を主な対象とする学際的な研究・学問分野である。ゲームスタディーズのこの多様性を、理論と方法論の集まりとしてまとめたり、教育と出版によって伝えるべきひとまとまりの知識体系へと整理したりし始めると、物事が複雑になってくる。ゲームスタディーズがありとあらゆる学問分野の理論とアプローチのすべてを網羅することは、たとえそれらがゲーム研究者にとっても「潜在的には」有用であったとしても、実現不可能である。「万物の科学」はいともたやすく混乱を招き、「中身のない研究」になる可能性がある。それゆえ、ゲームスタディーズがなぜ、またいかに特定の形態で現れたか、なぜいくつかの問題が他の問題より中心的であるようにこの分野の専門家には思われるのかを理解する必要がある。

何かを定義する時、私たちは境界を調べ、何が含まれ何が除かれているかを主張する。科学社会学者は、学問分野が実際には社会的構築物(social formations)であり、独自の言語や世界の共通の見方、さらには儀礼的な規約(しきたり)さえも作り上げると指摘している。ゲームスタディーズのアイデンティティも歴史的過程であり、時間の経過とともに発展している。〔…〕


正誤表

P.205 (7章『複合現実とマルチプレイヤーゲームに関する課題 / ◇「古典的ゲーム」のゲームプレイ体験』)

誤:実験してゲームプレイ体験エラー! ブックマークが定義されていません。をメモしよう。 

正:実験してゲームプレイ体験をメモしよう。 


P.245 (索引)

誤:イースター・エッグ / Easter egg・エッグ

イースター・エッグ / Easter egg

PDFファイル

参考文献一覧と索引のページを抜粋したファイルがダウンロード可能です。

(20240201) 山根信二さんから情報をご提供いただき、参考文献の邦訳書情報を一部更新しました