多元化するゲーム文化と社会

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多元化するゲーム文化と社会

【書籍】


松井広志・井口貴紀・大石真澄・秦美香子 編


電子書籍版:

PDF -《Gumroad -- https://gum.co/vefyL 》《BOOTH -- https://newgamesorder.booth.pm/items/1326510

Kindle - https://www.amazon.co.jp/dp/4908124302

予価2000円+税

ISBN978-4-908124-29-7 C3076 \2000E


冊子版:

2019年5月25日発売

予価3000円+税

ISBN978-4-908124-30-3 C3076 \3000E


複合性・横断性・多様性を持つゲーム文化の現在を明瞭に浮かび上がらせる論集

さまざまな人・モノがネットワーク化・バイブリッド化して形成されている複合的メディアとしてのゲーム。その複合的メディアであるゲームが、複合的メディアであるゲームが、他のゲームや他のメディアとアナログ/デジタルを越えてメディアミックスすることで相互に影響し合う横断性。そして異なるメディア環境でプレイされ、複数のジャンルにわたって展開される多様なゲーム文化。

本論集は、ゲームをこのように多元化しているものと捉え、プレイヤーやゲームの文化を、それを取り巻く社会的文脈との関係と共に、幅広い観点から考察するものである。

「ゲームメディア自体の複合性」「ゲームのメディアミックスな横断性」「さまざまなジャンルに展開するゲーム文化の多様性」

以上の3つの意味は相対的に独立したものだが、それぞれ密接に関係している。これらすべてに共通するのは、「ゲーム」を広い社会のなかで捉えることだ。つまり本書は、作品のルールや虚構世界を考えることに加えて、プレイヤーやゲームの文化を、それを取り巻く社会的文脈のなかで捉える。だた、これは私たちの独創的な視点ではなく、文化社会学や、CS、メディア研究で培われてきた、ある意味ではオーソドックスな視点である。

現在は、コンシューマー機やPC、アーケードのゲームが多くの人にプレイされているだけでなく、より古くからあるボードゲームやTRPGなどのアナログゲームが再注目されている。それに加えて、VRゲームやARゲームも次々と登場している。そうしたゲームの未来は、まさに「多元化するゲーム」と呼ぶにふさわしいものではないだろうか。「多元化するゲーム」をめぐる「文化」やその「社会」との関係を捉えていくことこそ、本書の目的である。

(序章より抜粋)

目次


序章 多元化するゲーム文化と社会 ※リンク先のページで序章の全文を公開しています

松井 広志・井口 貴紀・大石 真澄・秦 美香子


■第Ⅰ部 ゲームとユーザー■

第1章 大学生のゲームの利用と満足 ――ユーザー視点の研究――

井口 貴紀

第2章 携帯する「ゲーム=遊び」の変容――オンラインゲームの大衆化をめぐって――

木島 由晶

第3章 ゲームセンター考現学 ――ゲームセンターにおける高齢者増加の言説をめぐって

加藤 裕康

コラム ゲームにとって音楽とは

小川 博司

コラム コンサートホールとゲーム音楽

山崎 晶

コラム スポーツ化するサッカーゲーム

野田 光太郎


■第II部 実践のなかのゲーム■

第4章 ビデオゲームにおける日常と非日常

李 天能

第5章 盤上の同一性、盤面下のリアリティーズ:会話型ロールプレイングゲームによるゲーム論×相互行為論

髙橋 志行

第6章 TRPGにおける「ここ」:仮想的秩序と現実世界の秩序との整合をめぐる断章

臼田 泰如

第7章 人はゲームと相互に作用するのか――ルールを“運用する”ことに見る実践の中のゲーム概念――

大石 真澄

コラム ビデオゲームからの「面白さ」発掘を目指して ~四半世紀前のお話~

林 敏浩

コラム 開かれたTRPG作品

有田 亘

コラム 日本における成人向けゲームの倫理的レーティング規定

岡本 慎平


■第III部 ゲームとジェンダー■

第8章 プレイヤーキャラクターをジェンダーの視点から見る――「ドラゴンクエスト」と「Final Fantasy」の事例から

秦 美香子

第9章 子ども向けアーケードゲームのジェンダー化――『オシャレ魔女ラブandベリー』を事例として

東 園子

第10章 BLゲームの歴史と構造:ゲームならではのBLの楽しみ

西原 麻里

コラム 僕らのいる場所――「バーツ」物語――

シン・ジュヒョン (Shin Juhyung)

コラム 中国のアプリゲームから二次創作を考える

程 遥

コラム ドイツの大学におけるゲーム授業の変容と現状

マーティン・ロート (Martin Roth)

《翻訳》ユーロゲーム――現代欧州ボードゲームのデザイン・文化・プレイ (概略)

スチュワート・ウッズ (Stewart Woods)

コラム フィンランドのゲーム産業

タイラ・グラーンルンド (Taila Granlund) ※英語で書かれた原文のPDFをこのページの末尾に添付してあります


■第IV部 ゲーム文化と社会■

第11章 ゲームの内と外? ――マジックサークル再考

松永 伸司

第12章 「ゲーム/遊びとは何か」とは何か――ゲームのメタ定義論をめぐって――

井上 明人

第13章 「できなくなること」を享受する ――日本社会でのデジタルゲーム経験から

鍵本 優

第14章 メイルゲーム/ネットゲームのコミュニケーションと文化 ――多元的なゲーム史、ゲーム研究へ――

松井 広志

コラム ゲームと観光のかかわり

岡本 健

コラム インタラクティブ・フィクション

師 茂樹

コラム ゲーム研究をめぐる困難

吉田 寛


あとがき

附. 本書に登場するゲームの年表

索引


オリジナル発行元:ニューゲームズオーダー