(作品名のみ、順不同)
Bot Bid ※二次審査通過作
[nGo] B+
[Tendays] A
競り+正体隠匿という、二つのシステムがうまくミックスされ、まったく無理なく完成させているのは素直に凄いと思います。
ここまで何を作りたいのかを明確に提示し、それをしっかりとまとめ上げているのはセンスのいい証ではないでしょうか。
ただ、正体を隠匿する側の面白さに比べ、普通のプレイヤーにとってはあくまで普通の競りゲームになってしまっておりやや面白さが弱く、この差は気になるところです。
枯山水 ※二次審査通過作
[nGo] A
[Tendays]
得点要素の判断基準があいまいで目的意識を持ちにくい感があります。
ただ、小さな要素をうまくまとめる面白さはあり、テーマともあっているため、これはこれでありだと思います。また、それを狙ったのだと思います。
これは、能動的なアクションが取りにくいというゲーム全体の雰囲気にも感じるのですが、それを含めての「枯山水」なのだと思います。
一見、マイナス要素だと思われるところも、実はテーマあってのことだという、このまとめ方は素晴らしいです。
ただ、その分マニアックとも言えるわけで、どこか一点でもわかりやすいスカッとした気持ち良さを感じられる部分があればよかったように思います。
しかし、全体的な完成度の高さは突出しており、上に書いたようなマイナス点も些細な物です。
テーマパークへ行こう ※二次審査通過作
[nGo] A-
[Tendays]
ゲームの中での盛り上がりや展開の「成長曲線」がいびつすぎたり、ルールの枝葉の部分がわかりにくすぎたり、根拠の薄い細かい制約が多すぎたりと、正直、欠点ばかりが目立つゲームという印象です。
個人的には、一ラウンド目がゲームとしての体裁がもっとも取れており、そのあとは、いびつになる一方というのは非常に気になるところです。
個性的であるとも言えるのですが、ここまで極端だと、判断に困ってしまうところです。
なぜ、手札制限が必要なのか、なぜ得点計算はこの順番なのか、なぜテーマとの解離性が強くともスタンプを交換しなければいけないのか、ひとつひとつの要素について、答えがあるのか、デザイナーさんに聞いてみたいところです。
曼荼羅
[nGo] A
※二次審査通過作
[Tendays] A-
不可思議なテーマとシステムの合致具合がすごくいいです。
ボードを構成するタイルごとのバランスは、ルールブックで明確にしてあげるのが親切かもしれません。
マルチゲーム的な部分とアブストラクト感が強すぎるのは、好き嫌いがわかれるかもしれません。
ゲームが進むにつれ、考えなければならない部分が加速度的に増えていくため、中盤を過ぎてからのテンポ感の悪さは気になるところです。
この内容で、ファミリーゲームらしさを感じさせる部分や、プレイ時間を短くするような仕組みがあれば、完璧だと思います。
モスケン沖の潜水士【「限りなく深海に近いブルー(仮)」より改題】
[nGo] A-
※二次審査通過作
[Tendays] B+
最後のカード判定の仕組みや、得点計算の煩雑さなど、洗練されていない箇所は多いですが、その一方で見るべきところも非常に多く、その魅力のほうが勝っています。
リアルタイム要素も、単に盛り込むに留まらず、しっかりとゲームの要素として機能しており、アイデアをちゃんと形にするセンスの良さを感じました。
欠点と魅力をひとつひとつ確認して、丁寧に作り込めば、かなりいい作品になるのではないでしょうか。
ドラゴン諸島
[nGo] B
※テンデイスゲームズ 選外佳作
[Tendays] B+
アブストラクト感が強いのはいいところであり、悪いところでもあるのですが、このテーマの場合、もう少しアブストラクト感が薄い方がしっくりくるような気がします。
ゲームはきっちり作っていくと、どうしてもアブストラクト感が高まってくると思うのですのが、きっちり作り込む中でも、適度な緩さでまとめることも意識してほしいところです。
カードを使った移動と陣取りが軸となるかと思うのですが、カードへの数字の盛り込み方がやや安直で、駆け引きがぼやけてしまっているような気がします。
ただ、移動だけにしてしまいそうなところを、移動以外の要素をカードに盛り込むのはいいアイデアだと思うので、上手く別のアイデアをカードに盛り込めたら面白くなりそうです。
invulnerable
[nGo] B+
※ニューゲームズオーダー 選外佳作
[Tendays]
死に様を楽しむというテーマは、非常に魅力的ですが、要素が多く、せっかくの魅力が薄まってしまっているのではないでしょうか。
冒険に向かったら、クリアすることを目指すより、当然のごとく死ぬんだけれども・・・という極端な表現の仕方のほうが、テーマが活きたのではないでしょうか。
ワーカープレイスメント的な部分も、テーマから見たら、蛇足ではないでしょうか。今のままだと、努力に努力を重ねて、結果報われないということになることが多く、ストレスが溜まってしまう感じです。
ゲームを形にしたところで、一歩引いて自分の作品を俯瞰してみて、このゲームでもっとも見せるべきところはどこなのか、シビアに判断することは大事だと思います。
神無月
[nGo] B+
※ニューゲームズオーダー 選外佳作
(動画の再アップロードに伴いURIが変更されています)
[Tendays]
カード4枚というミニマムさは、そのチャレンジスピリッツも含めて、評価したいところです。
ただ、ゲームのキモと思える「解散」アクションについてのウエイトの持たせ方がちょっとこちらに伝わってこない印象で、それが全体の評価を下げてしまっているように思います。「解散」のタイミングを探るということを大事な表現としているのであれば、ちょっと弱い気がします。
手札の少なさから受ける印象よりは、実際のゲームは重い印象で、それもちょっとちぐはぐさに繋がっているのではないでしょうか。
4枚というミニマムさを最大限活かした形で、テンポアップを図ってみるといいかもしれません。
SENGOKU
[nGo] B+
※ニューゲームズオーダー 選外佳作
[Tendays]
要素の盛り込み方が過剰すぎるような印象です。
それぞれの要素が盛り込まれた根拠も感じにくく、結果、プレイへのモチベーションが上がりにくいです。
盛り込むよりも削ることの方が何倍も難しいことですが、ぜひ、削っていくデザインも試してもらいたいところです。
いいと思えるポイントはいくつもあるので、それぞれを最大限活かした形で、いくつかのゲームを形にしてみるのもいいかもしれません。
例えば、「敵将襲来」なかもすごくいいと思うので、それに特化したものは見てみたいです。
タイトルがスケールが大きいからといって、ゲーム自体の大きくせずとも、スケール感を出すことはできるはずです。
Turk
[nGo] B
[Tendays]
ドイツボードゲームテイストは十分に感じられ、デザイナーとしての「こういうものがドイツゲームだ」というものは、しっかりと持っているのではないでしょうか。
ただ、ゲーム中の選択は手なりになってしまうことが多く、もう少し手に力が入ってしまうようなバランス調整なり、アイデアなりが欲しいところです。
まとまりの良さと、自分の中のドイツゲーム観にばかり意識が行き過ぎてしまったような感じです。
ただ、応募作の中で、その人なりのドイツゲーム観があらわれた作品というのは非常に少なかったので、それだけでも非常に評価できるゲームではあります。
ご存知!犬公方
[nGo] B-
[Tendays]
ブラフ要素とトリックテイキング的要素の融合、ということに真正面から勝負したというのは、それだけで非常に価値のあることだと思います。
カード構成が変則的なゲームを、しっかりとまとめているところにもゲーム製作の巧さを感じました。
応募作の中では、優れたカードゲームと言えると思います。
ですが、やはりゲームとしての完成度、面白さとしては少し弱い印象でした。
とはいえ、冒頭に書いたように、カードゲームに真正面からぶつかった作品は少なく、本当に価値のあることだと思ういますので、これからも引き続き、カードゲームというスタイルにこだわって、作りつづけてみてはいかがでしょうか。
TIME TREASURE
[nGo] B-
[Tendays]
ゲームのスケール感のわりに、メインシステムが弱すぎるため、古いスタイルのボードゲームという印象がぬぐえません。
また、せっかくタイムトラベルがテーマになっているにも関わらず、時代の差がカードのパラメータにしかあらわれておらず、テーマを引き立てていないのは、このテーマでは致命的ではないでしょうか。それでいてカードのバランスがよくないのも気になります。
要素を増やせばゲームとしての厚みがますわけではないので、もっと本質的なところを見極めて、鋭さを増すようなデザインをして引き締めたほうがいいと思います。
テンポはいいので、それを活かす意味でも各要素をそぎ落とすことが必要だと思います。
掟
[nGo] C
[Tendays]
どうしようもない状況でのどうしようもなさが極端すぎるため、ゲームへの没入度がそがれてしまっているように思います。
また、カードを選ぶこと自体の動機付けが薄く、カード選びがメインでありながら、熱中度もそれほど高くならない印象です。
ふりまわされる感じを形にしたかったのかもしれませんが、あまりにまとまりが悪く、「ゲーム」らしさが稀薄過ぎるのではないでしょうか。
荒いことが個性のゲームでも「ゲーム」としてまとめることは意識してほしいところです。
賛成か!?反対か!?すべては地位と名誉のために
[nGo] C
[Tendays]
バッティングゲームとしての最低限の面白さは確保されてはいますが、このゲームならではの部分がどうしても感じられませんでした。
肝心の選択の部分も、自分にとっていい方に素直に投票する方が歴然としてしまっている印象で、駆け引きが少し弱いかもしれません。
もっと荒いバランスに振ってみて、驚きやスリルが味わえる方が、盛り上がるのではないでしょうか。
バッティングゲームは、まとまりよくするよりも、爆発力みたいなものを意識する必要があると思います。
シュトライフ
[nGo] B
[Tendays]
カード効果ありのメモリーゲームというアイデアは面白いです。
しかし、カード効果の面白さを演出したいのであれば、少し荒すぎるという印象で、ここまでメモリーゲームへの介入度合いが高いと、この要素がプラスに働いているようには思えませんでした。
カードが両面仕様となっており、それを「仕込む」ことによるゲーム性が加えられているのはいいのですが、ゲームが展開してくるにしたがい、徐々にぼやけてしまうのが勿体ないように思います。
カード効果と両面仕様カードを使った仕込みの面白さ、どちらかにもう少し振った内容でもう一度作り込んでみてはいかがでしょうか。
レンタルビデオ
[nGo] B-
[Tendays]
テーマの着眼点はすごくよく、また、全体的に溢れる遊び心は、応募作の中でも突出していました。「バイト」のアクションを選択した人が、実際にゲームの処理を行うというメタ要素の盛り込み方も面白いです。
ただ、肝心のゲーム部分は、面白味も薄く、テーマと、その再現性の高さに大きく劣ってしまっています。
一度、別の方と組んでみて、システムを別の人してもらって、肉付けの部分を担当するなどするといいかもしれません。
シルクワーム
[nGo] C
[Tendays]
役作りをさせたいはずなのですが、手札コントロールの面白さがあまりに稀薄な気がします。
最後に競りを設けているのは、全体のゲーム性をあげようとしているからなのだと思うのですが、全体的に作りが散漫なせいで、競りに対するモチベーションが上がらず、競りがゲームとしては機能していないように思います。
手札の読み合いを重要な要素としているようですが、これもやはり散漫な作りのせいで活きていません。
というよりも、これだけの要素を入れると、よほど丁寧に作らないと作りが散漫になってしまうものなので、それをしっかり意識しないと難しいでしょう。
子供も一緒に遊べるということを意識してシンプルにしたようですが、シンプルなゲームほど、しっかりとした面白さを提示しないと散漫さが目立ちやすいのではないでしょうか。
デキレース
[nGo] C
[Tendays]
お金のやりとりが大事な部分であると思うのですが、その自由度が低く、面白さには繋がっていない印象です。
自動車を下げるという行為がネガティブな要素でありながら、やや意味が薄く、プレイヤーにとってストレスになってしまうのではないでしょうか。
株の要素がスマートじゃないのは、致命的な気がします。
終盤、最終的な製産を見据えての駆け引きはなかなかのものだと思うので、全体的にスマートさを追求したら化けるかもしれません。
十弐之神
※ルール不備につき審査対象外
※「KATAZUKE」:二次審査辞退
■評語(A, A-, B+, B, B-, C) は2次審査時点でのもの。テンデイズゲームズ側は評語をつけているのはB+まで、それより下については評語なし
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[Tendays Games 側による二次審査総評]
全体的な印象として、「このゲームの面白さはこの部分なんだ」ということが明確に打ち出された作品が少なかった印象です。
また、そのゲームがどうしてそのゲームであるのか、それについての分析というのは、少しやってみるというのがいいかもしれません。
これは決して自分でデザインしたゲームについて、ということではなく、すでに発表されているさまざまなゲームについても含めます。
例えば、「エントデッカー」は、なぜ「エントデッカー」なのか。
そんなことを考えてみるのもいいかもしれません。
今回、最終審査に残った作品は、どの作品もほかの作品より「ここを見て欲しい」ということがうまく現れていた作品のように思えます。
また、安直に盛り込まれたと思われる要素が目立ちました。そぎ落とすということを意識してやってみることは重要だと思います。
とはいえ、これだけのゲームを一度に体験することができたのは、私にとっても非常に刺激的な体験でした。
次回があるならば、ぜひ、またみなさんの作品を体験させていただきたく思います。
[nGo 側による二次審査総評]